小児救急看護
小児救急におけるトリアージ・救急看護・虐待対応・ホームケア・事故予防の5つの分野からなります。また、子どもの健やかな成長発達のための家族支援をしていくことを目的としています。
コンサルテーション例
子どもと家族の QOL 向上に向けて、専門的知識と熟練した技術をもち対応します。
病棟だけでなく、外来や在宅、併設する保育園など、子どもやその家族に関するあらゆる問題や疑問に対し、一緒に考えていきましょう!
小児看護
- 子どもの病気、障害と治療
- 小児のトリアージの方法
- 小児のアセスメント方法
- 小児の発達、発育について
- コミュニケーション方法
- 小児やその家族への指導方法(ホームケア含む)
- 小児の専門的技術、検査方法
- 小児の薬剤
- 予防接種
環境
- 家庭環境が気になる
- 教育環境が気になる
- 不適切な養育環境である
虐待
- 小児虐待とは
- 小児やその家族の言動、表情が気になる
- 不自然な怪我(受傷機転が怪我と一致しない)
- 子どもへの対応方法
- 家族への対応方法
家族看護
- 子どもの入院時の家族の心理面での対応方法
- 育児相談、電話相談(症状相談)
- 育児不安、育児能力低下が伺える
- 小児の社会資源について
病院内だけでなく、在宅・併設する保育園など現場でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
認定看護師 活動報告
2021年2月紹介
~コロナ禍における子どもたちの変化~
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言により、学校が突然休校となり学習が遅れ、学校行事の中止や部活動の停止と人との接触機会が減りました。学校の再開後も分散・マスク登校・給食時の会話の禁止などこれまでと学校生活が一変しました。
そのしわ寄せとして、授業時間の延長のほか、資格・模擬試験の中止や入試の出題範囲までもが影響を受けました。
クラス内感染や人との接触が多い運動部での集団感染も出てきており、感染リスクの高い部活動の試合などは一時的に制限もしくは中止を余儀なくされ、子どもたちの意欲も低下させています。それに伴いコロナウィルスに罹患した子どもへの偏見、差別も問題視されます。
学校だけにとどまらず、塾や習い事にまで制限がかかり、学ぶ機会がなくなり、オンライン授業を取り入れるなど授業形態や学習環境が急速に変化し、社会生活の場が減少しました。
友達との交流は子どもの成長発達を促す重要な機会となります。
しかし、以前のように外遊びで自然に触れることができず、公園にあるはずの遊具なども子ども達が集中することから撤去されるなど、家庭外での子どもたちの居場所が失われました。
さらに、親も失業、給料の減額のほか、勤務形態により自宅でのリモートワークを強いられ、経済的にも大きな打撃を受けています。先の見えない不安や焦りの中、子どもが家にいることで生じるストレスが拍車をかけるなど子ども同様に大きなストレスを抱えています。このように子どもを取り巻く環境は大きく変化し、子どもの成長発達や心身への影響はとても大きいと考えられます。
2020年度の犯罪情勢統計では虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した子どもの数が過去最多となり、緊急事態宣言が発令された4月から7月にかけては特に増加しました。一方、全国の児童相談所が対応した虐待件数は5月と7月で前年度より減少したデータを認めました。このことは、虐待が減少したのでなく、コロナ禍という特殊な環境下において外部の目が届かず、虐待が潜在化した可能性があります。つまり、児童虐待は学校や保育園からの通告で発覚するケースが多く、外出自粛や学校、保育園が休校・休園したことで発覚する機会を失っているとも捉えることができ、虐待の発覚の遅れにもつながる危険性があります。このような背景において、小さなサインを見逃さず潜在化している虐待を見極め、多職種と連携を図り、早期に対応、支援していくことの重要性を感じます。
上尾中央総合病院 鈴木 美保
2017年12月紹介
小児の死亡原因は、「不慮の事故」をはじめ、「先天性奇形、染色体異常」ならびに「呼吸器疾患・心疾患」があげられます。
その中で、「呼吸器疾患や心疾患」は、自宅のみならず集団生活の中でも発生することがあります。そのため、初期対応を小児に対して周知、学習する機会を設ける必要性を感じます。
2005年に非医療従事者もAEDが使用できるようになり、公共施設や学校への設置も増加傾向にある一方で、成人においても未だ、心停止の対応は不十分と考えます。
実際に埼玉県内で起こった事例として、運動競技中に心停止に至り、死戦期呼吸を呈していた小児に対し、AEDや蘇生術が遅れたために尊い命が失われたという報告があります。
そのため、心肺停止および蘇生術に対する認識を深めることを目的とし、一次救命処置の普及を行なうこととしました。
現在、主に保育園や学童保育、小学校の教員向けに指導を行うほかに、小学生や中学生を対象とした、授業の一環として一次救命処置の講義も行っています。
さいたま市では全小学校で一次救命処置の授業が行われており、私は、埼玉東部地区の小学校をメインに他施設の医師、地域の救命士、看護師、小児救急看護認定看護師と共に学校に赴き、保健の授業の中で普及活動を行っています。
今の時点で、この活動によって得られたデータは不明瞭ですが、現在の普及活動が一定の小児の蘇生率を改善するものとなることを期待し、メンバーと共に活動範囲を埼玉県全域へと、拡大していきたいと思っています。
そのためには、現在の人員ではマンパワー不足な状況もあるため、今以上に活動のネットワークを広げるとともに、この活動を次世代へ引き継ぎ育成していくことが今後の課題と考えています。
上尾中央総合病院 鈴木 美保
2017年2月紹介
「小児救急看護」から連想されるものは、3次救急での救命看護のイメージが強いですが、1次、2次を含めた救急現場で子どもを安心して家庭で見ていく育児能力や対処能力が向上できるように指導や助言を行うなど、入院から退院後に至るまでの幅広い看護を実践することです。
近年、子どもとその家族を取り巻く環境が大きく変化している中、地域における小児救急医療体制の地盤の弱さなどを背景に、子どもと家族に関わる多くの社会問題が表面化してきました。
当院でも患児の家族の対処能力の低下や育児不安を抱えるケースも多く、昼夜を問わず問い合わせや受診が増え、相談件数は増加傾向にあります。
このような社会背景において、小児救急看護認定看護師は、家族の不安を軽減し、子どもの安全と健やかな成長発達のための家族支援や、他職種と連携を図り必要な社会資源の提供や環境調整をする役割を担います。
現在私は、ERと連携を図り、小児の救急車対応やスタッフの教育等行っています。また、JTASでの小児トリアージの導入に向けて準備を進めています。さらに、看護専門コースでの小児の急変対応や、看護学校、付属の保育園での講義を行っています。その他に地域にでての、一次救命処置の普及にも携わっています。
認定看護師としてはまだ経験が浅いですが、小児救急看護認定看護師として、外来や救急搬送された子どもの重症のサインを見逃さず、的確なトリアージと迅速な対応を行うなど専門的知識や技術を用いて実践していきたいと思っています。
また、子どもの最善の利益を第一に考え、家族が安心して適切なタイミングで受療行動や対処行動がとれるように支援していくことや、不適切な養育環境にある子どもやその家族に対して、家族が抱える問題点を把握し、養育環境を整えていけるように関わっていきたいと思っています。
上尾中央総合病院 鈴木 美保