「ISO15189の認定を更新しました!」
上尾中央総合病院(検査技術科)
菊池裕子
ISO15189は臨床検査室が品質マネジメントシステムをもち、臨床検査の項目に応じた技術能力をもって健全に検査業務を行うことを求める国際規格です。
遡ること4年前の2017年6月8日、大学病院を含めて埼玉県内の病院としては初めて、またAMGグループとしてはアムルに続き2番目にISO15189の施設認定(全国では132番目)を取得しました。病院方針のもと、当時、当院がISO9001の認証施設ですでに長年のISOの運用経験があることや、審査準備に向けて院内やアムルからのバックアップが約束されていたこと、またISO15189認定後に、せっかく構築した自施設の品質管理システムを自分たちの手で前に進めることができるよう、全国的にも珍しい「コンサルタントなし」で審査に臨むことを選択し、自力で進めることの難しさを痛感しながらも何とか認定にこぎつけたことを思い出します。
認定後もISO15189の認定機関JABより、毎年サーベイランス審査にて現地審査員にチェックを受けながら、今回2021年3月12日に、4年に一度の認定更新のための審査を迎えることとなりました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、埼玉県内がまだ緊急事態宣言下ということもあり、事前にWeb上で書類審査を受けながら、当日は感染対策を講じての現地審査となりました。4年前と比べて、それぞれの審査員の前で、堂々と質問に答えているスタッフの姿がとても頼もしく感じました。
ISO15189の仕組みを軸に当検査室の運営も少しずつ形作られてきておりますが、今回指摘された内容を検証・改善しながら、これからも私たちの検査室が提供する臨床検査サービスの質の維持・更なる向上を目指して取り組んでまいります。
審査直前ミーティング
審査員との顔合わせ
最終会議での講評
令和2年度 超音波研修会を開催して
柏厚生総合病院 清水麻由美
令和3年2月5日~26日及び3月8~29日の期間でAMG超音波検査研修会を開催しました。今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、録画動画を期間中に視聴してもらうWeb研修会となりました。参加対象者をAMG検査部希望者全員としたこともあり、それぞれの期間で169名、134名と大変多くの方に視聴参加していただくことができました。
研修内容は過去2年間に行われた画像サーベイ問題から正解率の低かった問題を中心とし、2月の第1回目は腹部「肝腫瘤病変の鑑別」「回盲部のエコー所見」甲状腺「乳頭癌」、3月の第2回目は心臓「弁置換」「右室収縮能評価」「左室径計測」それぞれの設問に対する回答と説明、それに関連した参考症例などを加え1問15分程度の解説動画としました。
アンケート評価では基本的な内容でとても分かりやすかった。参考になった。と研修内容に関するものの他に、時間のある時に個人のペースで何度も見返すことができた。今後も動画配信して欲しい。この形式であれば参加しやすい。などWeb形式の良さを評価した声も沢山いただくことができました。今までにない形式ではありましたが、とても有意義な研修会になったと感じています。今後も各施設の要望に応え充実した内容の研修会開催に努めて行きたいと思います。
第48回埼玉県医学検査学会「優秀発表賞」受賞報告
彩の国東大宮メディカルセンター
臨床検査科 稲森 悠
2020年12月に大宮ソニックシティにて開催されました第48回埼玉県医学検査学会において発表した、「冷却メイグリンワルド緩衝液を用いた好中球顆粒減少判別向上の検討」がこの度「優秀発表賞」の受賞となり、2021年3月9日の埼玉県臨床検査技師会臨時総会に先立ち行われた表彰式に出席しました。
発表では、血液塗抹標本を染色する際に用いるメイグリンワルドギムザ染色において用いられるメイグリンワルド緩衝液を5℃~37℃の範囲で7段階に調製し、各温度の好中球顆粒の染色性を確認した後、最も適正だった15℃のメイグリンワルド緩衝液を用いて、好中球顆粒減少の鑑別に苦慮した検体の染色性の評価と、その結果について報告しました。
今回の発表をするにあたり、各温度の緩衝液の調製方法や染色結果の評価方法など、様々な点で苦労しましたが、先輩や同僚のサポートがあり、発表まで至ることができました。また、何か目標を持って検討する事の面白さや難しさを再認識することができた他、普段業務の中で実施している染色にしても、工夫一つで患者様の結果に大きく貢献できる可能性があることを学びました。
今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴いポスターでの発表となり、普段とは異なる様式での発表でした。作成にあたって多くのスタッフのサポートがあり、この度の受賞もその支えなしには成しえなかったと実感しています。今回の経験を活かし、今後も学会発表や業務により一層精進していきたいです。
遺伝子WEBセミナー開催
新型コロナウイルス診断のために欠かせないCOVID-19検査の需要が世界各国で高まり続け、中でもリアルタイムPCR検査はその感度の高さや正確性からも診断の基準となる検査法として一般社会でも広く認識されるようになりました。
上尾中央総合病院検査技術科では、12月にPCR検査を導入するにあたりまずは知識の習得が急務につき、日本臨床微生物学会やメーカー主催の無料オンラインセミナーを利用して、PCR検査に従事したい、学びたいと希望するスタッフに対し、科内で勉強会(全9回;9~12月)を開催しました。
セミナーでは、COVID-19の検査・診断・感染症対策全般のほか、各論的に、抗原・抗体検査の特徴や知っておきたいポイント、遺伝子検査の中心的な技術となるリアルタイムPCRについては、原理や基本テクニック、精度管理までの充実したラインナップとなっており、遺伝子検査をするにあたり必要なことを学ぶ貴重な機会となりました。
感染対策に十分配慮しながら開催しており、毎回20~30人のスタッフが業務後の1~2時間ほどのセミナーに真剣に聴講している様子がありました。
2020年4月に発令された安倍元首相の緊急事態宣言の中で、クラスター対策に携わる医師・看護師と並んで臨床検査技師に対しても感謝の気持ちを述べられたことが強く印象に残っています。COVID-19検査においては臨床検査技師の存在が注目されており、それに応えるべく私たち臨床検査技師は貢献したいと考えております。
以下、参加スタッフに実施したアンケートからコメントを掲載します。
Q.1どのようなことが学べましたか?
遺伝子検査の基本から学ぶことができた。わかりやすかった。/検査手技や結果判定などの注意点を学ぶことができ、より正確な検査を行うことを意識したいと思う。/作業環境や防護具などきちんとすることが大事だとわかった。/PCR検査を導入するにあたり、学んだことを今後に役立てたい。
Q.2WEBセミナーを集合型で受講する形式についての感想
座席の工夫や、アクリル板の設置など感染対策がしっかりできていたと思う。/気軽に安心して参加できた。/外部の会場に出向くこともなく身近の環境で学べるので、積極的に参加できる形式だと思う。/同じタイミングでセミナーを受講しているので、すぐに仲間と意見交換できるのがいいと感じた。
上尾中央総合病院 菊池裕子
「埼玉県公衆衛生事業功労賞」を受賞して
株式会社アムル
濱田 昇一
この度、令和2年11月9日第64回埼玉県公衆衛生大会において、彩の国東大宮メディカルセンター穴原主任とともに、埼玉県公衆衛生事業功労賞を受賞させていただきました。この栄誉は、ひとえに中村会長をはじめ多くの諸先輩方ならびに快く技師会活動に送り出していただきました職員のみなさまのお陰で受賞できたものと深く感謝しております。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
思い起こせば、平成2年4月、21歳の時に縁あって医療の道に歩み出ました。
当時の医療業界は、官民を問わず全国の医療機関で、深刻な経営危機を背景に厳しい合理化の嵐が吹き荒れていました。民活論などを根拠として当時の厚生省が打ち出したアウトソーシング、全国の自治体で推し進められている行政改革がこれに輪をかけていました。
特に、臨床検査の分野は厳しく平成4年7月1日付けにて公布された医療法の一部を改正する法律で、初めて病院・診療所等の業務委託に関する制度が医療法に盛り込まれ我々の主業務である検体検査が、明記されました。そのため、各施設内で行われていた検体検査の多くの分野が、外部委託の形となりました。その影響から新卒者の採用に制限がかかり他の医療職と比較し低い水準となっていました。
そのような社会背景でしたが、私自身は、お蔭様で上尾中央医科グループにお世話になり各種検査技術取得並びに認定技師資格を取得する機会に恵まれた共に良き上司にも恵まれ埼玉県技師会役員等も経験させて頂きました。資格取得から今年でちょうど30年になります。これからは、技師会役員、各種学会発表、など、種々の活動から得られた経験と知識及び人脈から若い人たちの背中を押すことを宿命と捉え、邁進して行きたいと思っております。今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。
第48回埼玉県医学検査学会に参加して
2020年12月4日に大宮ソニックシティにて第48回埼玉県医学検査学会が開催されました。コロナ禍の中で開催された今年の学会は、人数制限や検温、マスク着用、手指消毒などを徹底し感染拡大防止対策に気を付けながらの参加となりました。例年はパワーポイントを使っての口頭発表でしたが、今年はポスター掲示と質疑応答のみの発表となりました。
AMGの他施設からも複数の演題が発表されており、私は“全自動赤血球沈降速度測定装置「Smart Rate 20」の基礎的検討”と題し、当院での全自動赤血球沈降速度測定装置の導入時の検討について発表させて頂きました。初めてのポスター発表ではありましたが、様々な方のご協力を頂き無事に発表を終えることが出来ました。また、この学会で学んだことを日々の業務に活かしていきたいと思います。
前例のない状況の中での学会参加と発表を終えることができたこと、関係者や実行委員会の方々に感謝致します。
白岡中央総合病院 検査技術科 中野智恵
第69回日本医学検査学会に参加して
一般社団法人福島県臨床検査技師会の担当で宮城県仙台市において、2020年4月に開催する予定だった第69回日本医学検査学会が、このたびの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、会期・会場を変更し、また現地会場+Webでの併用開催となり、2020年9月5日~6日にWeb開催に先駆けて千葉県の幕張メッセで現地開催された。会場も感染対策がしっかり行われていた。まず、会場内のいたる所には消毒用アルコールが設置されていた。そして入り口はサーモグラフィによる体温計測で、OKだった場合は腕に巻く青いテープが渡され、受付は非接触方式による会員証読取とフットパネルを用いた簡単なPC操作だった。演題受付のPCセンターではディスポーザブル手袋着用によるPC操作での受付と徹底された感染対策がなされていた。発表会場も、ソーシャルディスタンスを守っての着席と人数把握のために立ち見は禁止されていた。演者はマスク着用か会場に設置されていたフェイスシールド着用での発表で、座長も同様の状態での進行だった。質疑応答で使用されたマイクは1回使用される度に、スプレーによる消毒が行われ、演者用のマイクは専用のカバーが取り付けられており1回毎に交換されていた。現地の様子はというと、当然の事ながら例年の日本医学検査学会の様子からは想像も出来ないくらい少ない参加だった。人数が少ない事による寂しさもあるが、発表会場の移動や聴講が快適などのメリットも正直感じられた。
新型コロナウィルスの感染拡大が始まってから各種学会が中止や延期、完全Web開催へ移行する中、初めて集合型で開かれた全国規模の学会だったと思われるが様々な感染対策がなされており、今後の集合型開催におけるモデルケースになるのではないかと感じられた。
(株)アムル 生化学検査室
石川 純也
【現地発表演題】
- IL-2R測定試薬の基礎的検討-BM8060形自動分析装置を用いた性能評価-
(株)アムル 石川 純也